小林やすおの一般質問:小・中学校の初期消火訓練について

一ヶ月前の5月26日の18:24分に発生した三陸南地震は、宮城県沖の海底70キロ付近を震源とするマグニチュード7.0とかなり大きなエネルギーを発生させ、三陸地方では震度6弱の強震となり、東京でもかなりの揺れで私も自宅で金魚の水槽を水が溢れ出ないように思わず抑えていました。

宮城県・岩手県では、家屋の倒壊や崖崩れなどの被害がありました。
大規模な火災は無かったようですが、仙台市のコミュニティFM「仙台市民放送」の番組の一つで懐メロや戦前の歌謡曲などを流す番組のパーソナリティの狩野さん宅で地震直後に火災が発生し2階部分が焼けました。
原因は地震の揺れによる照明器具のショートが原因と見られ、その2階には銀行員だった狩野さんが仕事の傍ら趣味で収集したCDやレコード、音楽雑誌など7000点が保管されていましたが総て灰になりました。
番組の音源や資料として使用していた物が焼けてしまい番組の継続が困難となり今月28日を持って番組は終了することになりました。
その、宮城県では25年前にもマグニチュード7.4を記録した宮城県沖地震があり、今回の地震よりも被害は大きかったようで、毎年この地震のあった6月12日を「県民防災の日」と決め大規模な訓練をしています。

そんな中、仙台市若葉区のサーカス会場では「象」と「幼稚園児」による共同防災訓練が行われました。
訓練に参加したのは幼稚園児40名と木下サーカス所属のメス象「オム」7才と「サバイ」6才で 水を入れたバケツを象の鼻に手渡すと、象は鼻でバケツを数メートル運び別の園児にリレーし、受け取った園児が 火を想定した標的に水をかける、というものでありましたが二週間前におきた大地震の後でもあり象も幼稚園児も真剣な面持ちで訓練をしていたとのことです。

一方、内閣府と消防庁・文化庁・国土交通省は文化財の防火に関する検討委員会の設置を決め、 今月中にも発足させると発表しました。 中央防災会議が試算した被害想定でも「もらい火などで建築物や美術工芸品が焼失する危険がある」と指摘し、 大規模な地震のときには火災が同時多発的に発生し消防隊もすぐには駆けつけられないとみられています。 寺や神社など文化財の所有者だけでは、延焼は防ぎきれない恐れがあり「行政と住民、NPOなどの協力」 を検討するものであります。 

地震による被害としては、多くの皆さんが鮮明に記憶をしている、平成7年の阪神淡路大震災があります。 この地震での住宅被害は全壊・半壊・一部損壊を合わせ512.857棟でした。 そして、火災による被害は、全焼6,982棟、半焼89棟、部分焼299棟、ボヤ113棟 合計7,843棟であると消防庁がまとめています。

そして、東京での大きな地震と申しますと、大正12年9月1日の関東大震災があります。この地震は発生時間が昼食の支度をしている時間 で火を使っている家庭が多く、家屋も木造がほとんど、そのうえ地震規模も大きく全壊家屋は128,000棟、火災による全焼家屋はなんと447,000棟と 未曾有の大災害となりました。

災害は、忘れたころにやってきます。日ごろの備えと心がけ、そして繰り返しの訓練により、 大地震による被害を最小限に抑えることができます。

千代田区でも毎年9月に防災週間を設け、各地区で防災訓練や非難訓練を実施してまいりましたが、 現在は建物の不燃化が進み区内全域が「地区内残留地区」となりましたので、広域非難場所への 避難訓練の必要はなくなり、小規模な火災が発生した場合や火災のおそれのある場合は 公園などに一時的に非難することとしています。

区立の小中学校でも9月1日の始業式の後に児童・生徒が災害を想定し各家庭に安全に帰宅させる訓練をしています。 小学生は保護者に引渡し訓練、中学生は地域ごとにまとまり帰宅させますが、私は児童生徒に対する防災・防火教育のより一層の充実が必要と考えます。 正しい消火器の扱いができる小中学生がいかほどいるか、家庭ではなかなか体験させる事はできませんが、よい機会なので小学校では親子防災教室など検討しては如何でしょうか。
ちなみに少年消防団に入団をしている児童は日頃より各種訓練をし小学校2年生でも消火器の扱いはできると少年消防団長から聞いていますが、経験の無い児童には難しいと考えます。

中学生についても、帰宅訓練だけでなく消火器の使い方および初期消火訓練を、さらに応急救護訓練を教職員と共に実施するべきと考えます、消火器も単純に火に向けて噴射するのではなく効率的な噴射方法があり、初期消火の限界は天井に着火するまでなど一度体験をして覚えておけば家庭で、
また区内約800箇所に設置された街路配備消火器を活用し「いざ」という時に役に立ちます。

9月1日には区内消防署・各消防団・神田・少年消防団などの協力を得て初期消火訓練・応急救護訓練を実施すべきと考えます。

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